かつては薪や堆肥、飼料など、生活ツールの採取の場として、暮らしに欠かせない存在だった森。
けれどいま、森に足を運び、必要なものを手に入れる人はほとんどいないでしょう。
森と暮らしは、どんどん分断されていっています。
国土面積の7割以上が森林である日本において、
森をうまくつかいこなしていくことは、
世界各国で資源が枯渇していくこれからの時代、
ますます難しく大切になってくるでしょう。
森には、スーパーや百貨店に並ぶ分かりやすい機能の道具はありません。
けれど、視点を変えれば何にでもなり得るものがそこらじゅうにあります。
ときにそれは、働く糧になり、デザインのインスピレーションになり、食材にも、
教材にもなるでしょう。
森機応変(しんきおうへん)は、森のいろんなお困りごとに応えるプラットフォーム。
いろんな森の相談を受けながら、
森に関するナレッジを蓄えていき、つながりをつくっていきます。
森から見える様々な知恵や工夫を共有しながら、
ユニークな視点とつながりをひろげていきます。
森をつかいこなす知恵や工夫、ユニークな視点は、
これからの未来にきっともっと必要なツールとなっていくことでしょう。
それが、森と豊かな生態系をつないでいくことを願って。
かつてのような生活資源を採取する以外の方法で、森をつかいこなし、関わっていく人を増やしていくため、
3つの段階を踏んで3年、いや5年、もっと先を見ながらすすんでいきます。
かつてのように生活ツール(薪や堆肥、飼料 等)の採取の場としての出口がなくなった森に、
離れた場所でも森との関連性を生むツールを提案し、自分ごととする人を増やす。
森を分断した森林所有者問題の根本的な解決は難しいが、
現状の活用事例や将来的に作りたい森を使いこなす未来事例を共有し、
自身にも関われるイメージを想起させ、現場での体験コンテンツを提供していく。
可視化できていない森に関わるビジネス体系を可視化し、自身で事業化するハードルをさげ、
ビジネスモデルを創出していく。自身の生業や暮らしと森をどんどん関連付けていく。
丹波篠山市と丹波市からなる丹波地域は、兵庫県の中央東部に位置し、東側は京都府と大阪府に接する海のない内陸地。神戸から約45km、京都から約55km、大阪から約60kmと京阪神大都市圏からほぼ1時間の時間距離圏に位置しながら、いくつもの山々と、のどかに広がる田園地帯が広がる自然豊かな場所です。東西約50km、南北約35kmに広がり、面積は869.01k㎡で、県全体の10.4%を占めます。
約75%が山地である丹波地域は、粟鹿山(962m)を最高峰として、標高500~800mあまりの山稜で囲まれた平均標高600m程度の地域です。中央を東西に多紀連山が佇みます。
標高80~100mの氷上低地の加古川(佐治川)流域と、標高200m以上の篠山盆地に大きくわけることができ、篠山盆地から京都府福知山方面を含めた全体を、丹波山地あるいは丹波高地と呼んでいます。
平地部から突出する形の山際と、狭く切り立つ山頂稜線を特徴としており、「岳」「嶽」、また多紀連山は「多紀アルプス」などとも呼ばれています。
丹波地域のように、緑のなだらかな山裾面は珍しく、棚田や宅地に開墾されることなく緑の山容が山裾部まで守り継がれながら家屋と山々の緑が接しているのは、「森の国」と呼ばれる理由のひとつかもしれません。
盆地内の低地には、ランドマークとなる小丘が数多くあり、こんもりとした山容や季節によって山稜の樹冠までもを見渡すことのできる程良いスケール感。だからこそ、季節や気象変化といった微気候によって多様な表情の山を楽しむことができるのです。
篠山川を支流とする加古川水系と、旧氷上町石生(水分れ)を本州で最も低い分水嶺として日本海に注ぐ由良川(竹田川)水系、篠山盆地南部の武庫川水系の3つに分けることができます。
三水系とも丹波地域の山地がはじまりとなっていて、丹波地域全体が県土の大切な水源地。
加古川(佐治川)水系は氷上盆地と篠山川の篠山盆地、由良川(竹田川)水系は市島盆地をそれぞれ構成し、一部の河川沿いには河岸段丘も見られます。
周囲の山々と川、低地といったエレメントが構成する各支流域の谷筋領域は、丹波地域では同質的なランドユニット(地勢の基礎単位)を構成しており、空間スケールを変えながら川筋で結びついて繰り返し構成され、丹波地域はこの「水系を単位とする地勢」によって階層的に組み立てられているといえます。
表層地質は、低地に分布する泥・砂・礫などの未固結堆積物からなる堆積岩類(第四紀)、北部から東部及び多紀連山、篠山盆地南部に分布する礫岩・砂岩・泥質岩・チャートなどの固結堆積物からなる堆積岩類(古生代)、西部から南部にかけて分布する火山性岩に大別されます。
堆積岩類(古生代)は固くしっかりとした基盤で、地震に対しては、県下でも有数の安全な地域といえます。
山頂から尾根筋にかけて乾性褐色森林土が、山裾には褐色森林土が多く分布。低地は、灰色低地土と黒ボク土が多く、旧市島町から旧春日町域にかけては黄色土が、篠山盆地南西部には残積性未熟土が分布しています。
丹波地域の約75%(約653k㎡)が、森林。そのほとんどが二次林(=もともとあった天然林に伐採などの大きな人為的な攪乱が加わり、その後に自然に森が再生した結果できた植生)で覆われています。
篠山盆地東部から多紀連山の南山腹、そして地域南部の今田町や山南町西部は、乾性型土壌となっておりアカマツやモチツツジ群集で覆われています。北部や標高が少し高い所ほどアカマツ、サイゴクミツバツツジがより多く群衆しる傾向にあります。
氷上盆地から青垣町、そして柏原町周辺は、尾根筋には帯状にアカマツやモチツツジ群集が。入山しやすい谷筋や襞部分には、スギ・ヒノキ・サワラの植林地が多くなっています。多紀連山や氷上盆地・市島盆地周辺、そして旧丹南町の北側斜面や谷筋に、コナラ群落が乾性の土壌をさけるように帯状に細かく分布しています。河川沿いには自然草原が続いており、低地の小丘はコナラ群落が多く育っています。